在宅看取り法務サービス(以下「本サービス」という。)は、
高齢者が自宅において尊厳を保ちながら最期まで生きることを支援する実務であり、
その過程では、法律手続のみならず、意思決定支援、家族関係の調整支援、
介護・医療との連携といった複合的かつ不確実な課題に向き合う必要がある。
乙(受託者)は、これらの実務に継続的に携わる中で、
単なる法手続の代行では依頼者の安心は十分に確保されないことを経験的に認識し、
依頼者の価値観・意思・関係性を支える支援原理を抽出し、
これを「法務介助」と称してきた。
法務介助とは、依頼者甲が将来の不確実な状況に直面した際に、
その意思が適切に表明され、尊重されるよう、
法制度と生活現場とのあいだを媒介し、安心を生成することを目的とする実践思想である。
本契約は、甲(依頼者)と乙(受託者)が、
本サービスの提供に関する権利義務を定めるとともに、
不確実性に備え、信頼を前提として協働するための枠組みを共有することを目的として締結される。
甲および乙は、本契約書の条項を、
上記の趣旨および「法務介助」の理念を前提として解釈し、
相互に協力して、甲が安心して在宅看取りを実現できるよう努めるものとする。
法務介助:
フレイル期(心身・社会的に脆弱性が増す時期)にある高齢者が認知症に至る前段階で、自分の価値観に即した「自律ある暮らし」を住み慣れた自宅で続けられるように支援する実践。
※医療や介護と並び、自分の価値観に沿って暮らしを続けるための第三の関わり、それが法務介助です。
つまり、医療や介護が「身体」を支えるなら、法務介助は「生き方」と「意思」を支えます。
自律:
自分の意思と選択で生き方を決められること。
※「自律」とは、他者の支援を拒む孤立ではなく、関係の中で自分の意思を再び働かせる力を指します。
→判断・意思決定・価値観など、法的・倫理的な概念。


